大学の先生の講義ノート

日々 専門職、時々 大学講師のジャイ子が、大学講義の舞台裏をご紹介します

teaching is to learn.

 

はじめての大学での授業。最初の講義依頼はピンチヒッターだった!

シェアする

f:id:kougiinfo7:20170122163106j:plain …そいう方が、多いのじゃないでしょうか、実は。と推測しています。

おそらく、元々(いつぐらいだろ…)非常勤講師というのは、以前書いたように専任教員の研究仲間や、現場で第一線で活躍する技術者などが担当しており、大学の専任教員に求めることができない学問的な意義を外から大学に持ち込んでくれる大切な存在だったのではないでしょうか。

しかし、今や大学は、ほぼ財政的な理由で非常勤講師を多用しているというのが現実かと思われます。

また、ポスドクたちが、数少ない研究職のポストを勝ち取るためのアドバンテージとして、「非常勤講師の掛け持ちで生きていくのは不安定で保障もなくつらいところであるが」教育業績を積む目的(あるいはしがらみ)で非常勤講師をしているという側面もあるようです。

このような、心もとない利害関係の一致で、非常勤講師の職が維持されている面はあると、私は感じています。

ポスドクたちは、就職が決まれば、当然、3月だろうが8月だろうが、非常勤講師を辞退します。

さて、大学は困ります。もうすでに学生たちにはシラバスを公表し、開講を告知し、受講者も決まった。なのに講師がいない。

悪いけど、私の大学で来週から授業できひん?

今考えれば、無茶ぶりも甚だしいですが、引き受ける方も引き受ける方だな、と思います。

ただ、この時も、とてもお世話になっていた先生からのお話しだったのでお応えせねば!でお引き受けしましたよ。

もうずいぶん昔のことで忘れましたが、たぶん、育休な感じで仕事が空いてたような記憶があります。普通に働いている人が、一週間後って無理ですもんね。

また、初めてだっただけに、怖いもの知らずだったとしか思えません。今だったら、他の大学で教えてる科目ならともかく、まったく初めての科目を1週間前に引き受けることはできないかなぁ。。。

“就職が決まったポスドクがドタキャンした授業を急きょひきうけることになった。”

それが、私のはじめての大学講義でした。

初出講までのタイムリミットは1週間!とにかく進め~!

まず、とりかかったのは、授業計画を作ることでした。

最初の一時間目は、授業の内容に入らなくても、オリエンテーションや概要説明でお茶を濁して終われる!(最初からしっかりした授業を求められる大学もありますが、この時の大学は、そんな感じの大学でした。)実際に授業を始めるのは実質2週間後と考え、乳児を抱え連日連夜の資料作りでした。

・・・若かったです。昼間は家事と赤ちゃんの世話、夜皆が寝静まってから資料作り。赤ちゃんなので、夜は何度も授乳、おむつ替えがあります。よくやったと我ながら思います。

(ちなみに、すべて手作り資料とPPTの授業です。私は本を書いていませんし、これ!という教科書に出会ったことがないというと偉そうですが、他の人が書いたものは、ここは良くても、ここが足りないとか思うところがあり、自分のしたい授業にぴったりなものに出会ってないんです。)

まず、〇年前に受講した大学時代の同じ科目の古い教科書を引っぱり出し、思い出すところからスタート。

そして、最新の教科書やデータなどに目を通して、授業の目的、私がこの授業で期待されていること、学生に身につけて学んでもらうべき内容などを明確にし、その目的を達成するためのスケジュールを立てました。

非常勤講師の私が担当するのは、一般教養や概論、その周辺の科目なので、基礎的なことを押さえれば大丈夫です。(専任の先生が演習などを担当されますよね。)

とりあえず、半年のイメージができたところでスケジュールを作成し、資料にまとめて初出講しました。

緊張の初出講

ピンチヒッターだったので、本来ならいただくべき大学の利用方法や、教務関係の資料やそんなものは後回しです。

また本来なら、一週間前までに原稿を渡しておけば、受講生数分の資料を印刷しておいてもらえるのですが、出来上がったのは前日です。当日早めに出講し、教務課の方に簡単にレクチャーを受けた後、自分で印刷して、教室に入りました。

受講生30人程度の授業と聞いていたのですが、ふたを開けてみたら、100人程度が集まっていました。

30人の受講生を想定した教室だったのでぎゅうぎゅう詰めです。入室してから、あまりの密度に退室した学生もいました。

学生たちは、熱い~息苦しい~、ぼやきまくり、私もむせ返る教室の中、汗をかきながら授業計画を話しました。

緊張して、立って授業ができなかったと思い出します。(初々しい~)

今は、教室を縦横無尽に動くタイプの講師ですが、この初めての授業だけ、座って話をしました。

アンケートを取って、この講義に期待することや、感想を聞いたのですが、ほとんどが

「熱い」「狭い」  でした。

速攻で、教務課に頼んで、教室を変更してもらいました。

大学の講義が毎週、毎週、自転車操業…

それからというもの、毎週授業を終えたら、次の週の資料作り。

職人なので、講義だけ、とかあまりできないタイプなので学生を動かしたり、ワークを取り入れたりすると、レポート書かせたり、フィードバックも必要になってくる。すると、100人分の採点作業と資料作りと、コメントを考えたりと、なんやめっちゃしんどかったのを覚えています。

しかも、後になってわかったこと。その大学では、100人以上の受講生の科目はTA(ティーチングアシスタント)を付けてくれることになってるらしいのですが、そんなこと誰も教えてくれへんし、知らんかったし!そもそも、授業当日まで手引きとかもらえへんかったし!

100人を超えると、提出物の管理だけでも大変になって来るんですよね。

もっと要領よくやればよかったのだろうけど、初めてなのでどこでどう力を抜いたらいいかわからない。

時間もないし、考えている間もないし、とりあえず全力投球しておけば間違いないだろうって感じでやってました。

その結果、あれも伝えたい、これも言っておきたいと、内容が濃くなりすぎて、良くなかったと反省しています。

よっぽど私のような職人になる人以外は、この講義で聞いたことは、3年後ぐらいにすっからかんに忘れているに違いない。

そう思うと、量は少なくても心に残る授業がいいのかな、と最近は心がけています。

ただ、そんなハチャメチャなスタートの、自転車操業の授業にもかかわらず、「講義ノートはずっと持っていて、必要な時に読み返したいです。」とかかわいいことを言ってくれる学生もいたりして、今まで教えることへの苦手意識というか(そもそも注視されるのが苦手)、避けていたこととかあったけど、何かを伝えることって悪くないな、って思いました。

そんなこんなで、大学を変え、科目を変え、ご縁があればそれを大切に、来るもの拒まず去る者追わずで10年ほど非常勤講師もやっています。

スポンサーリンク

プライバシーポリシー