大学の先生の講義ノート

臨床角帽学概論A

teaching is to learn.

 

シラバス考2 さて。シラバスは、読まれているか否か。

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  こんな感じで、シラバス作成に他の先生からしたら(たぶん)あり得ないエネルギーを使っている私ですが、たいへんたいへん!と言いながら、結構楽しんでいるのでまあいいんです。

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ところで、シラバスってどの程度学生は読んでいるのでしょう?

教科書のチェックぐらいはするでしょうが、それ以外のところを注意深く読んでくる学生はあまりいないのでは…?という印象です。

ある科目で、シラバスに厚生労働省のHPにあるPDF資料を印刷して持参することを明記してあったのですが、持ってきた学生はほぼおらず、念のために用意していた忘れた学生用に用意した資料では足りずに困ったことがありました。

シラバスは、学生との約束事であり、担当科目の名刺のようなものです。
指定教科書・参考書や評価方法だけでなく、この科目への私の思いや注意事項など、最初に知っておいてほしい大事なことを書いています。

でも、そういうところは、あまり読まれている感じがしません。
私は、最初に大学で教えるようになってしばらくしてから、最初の授業でシラバスを基に、もっと詳しく授業の流れを紹介したレジュメを作成して配布し、授業の最初に説明するようにしています。

これには、次のような学生の甘い発言を許さない意思を表明するためでもあります

正直、これらの↓質問に対応するのって、不毛なエネルギー消費な感じがするんですよね。学習の内容についての質問なら、心はざわつきません。

 

質問1「先生!教科書って何ですか?どこで買ったらいいですか?」
                                      ⇒レジュメを読んで指定教科書を買ってこない学生がおり、授業がやりにくい。
⇒テスト直前にこのような質問をしてくる学生がいて、イラっとする。

 

教科書持たずに授業を受ける学生の群れ、最初はカルチャーショックでした。

何でしょうね。何のために大学に来てるんでしょうね。心から不思議なんです。

本当に大学の意義をそろそろ考え直す時期が来てるんじゃないですか?日本。

 

質問2「先生!レポート全然出せてないんですが、単位取れますか?今から課題もらって提出したら単位取得可能ですか?」

⇒評価について学期末になって問い合わせが殺到し、また、単位取得のために無謀なお願いをする学生が押し寄せるのでイラっとする。

 

 最初の頃は、「挽回しようと頑張る子もいるんだ」とフレッシュな仏心で、欠席等で抜けている授業内容を身につけられるような、代わりの課題を時間かけて作りました。

学生とも個人的にメールでやり取りしました。

しかし、学んだんです。
「今からでも何とかなりませんか?」と言ってくる学生は、ほぼ、「単位もらえればラッキー、言うのはタダ!」と考えているということを。

私が、彼らのために大学の蔵書や視聴覚資料の状況を調べ、参考資料として提示し読書をすすめ、何を学ぶべきかについて懇切丁寧な資料を作り、課題について個別にお知らせしても、それに応えてきちんと提出する学生はいませんでした。

私の授業は資格科目に位置づけられることも多いので、単位取れなかったら困るかな、でも、資格科目なのにきちんと学修しないと後で困るよな、と授業に出たくても出られなくて本当に困っているやる気のある大学生を想定したのが間違いだと最近では思っています。

個別対応はオーダーメイドになるので、補足の課題を用意するだけでも数人になれば時間がかかります。
無駄な労力でした。
だから、今はきちっと線引きをして、この線より下の人は絶対単位をあげません…の受講ルールを最初に提示します。

 

質問3「これ楽勝科目とちゃうん?」

⇒不適切な行為を認めない。適切に評価する。という意志を示しておく。

 

 ある大学の専任教員に、怖い話を聞きました。

○○先生がご担当する、△△入門は、この数年のうちにいわゆる楽勝科目との噂が広まり、例年、受講希望者が殺到(もちろん、抽選になりますが)、大教室の座席に対してほぼ100%の受講生数になっているとのこと。

(100%座席が埋まることはありませんが。)
TAや出席管理システムの助けを借りても、授業の運営や学生の成績管理等は難しい。
授業の光景はまるで野生の楽園。けたたましい動物(人間)の声が響きわたる。
評価方法は、受講人数が多すぎるため、採点の負担を考えるとレポート課題は難しく、定期テストになるが、カンニングの取り締まりも難しいので持ち込み可のマークシートにせざるを得なくなっている。
これがさらに、楽勝科目の噂に火をつけるという悪循環に陥っている。
…おそろしい。

似たような現象は、ちょくちょく聞きます。
ある程度の規模の大学は、複数開講にするなどの対策を取りますが、小規模校になるとそれも難しいのでしょうか。
講師と科目の名称を変えてリニューアルすることを検討中とおっしゃっていました。

その科目、頼まれたとしても担当したくないわぁ…

 

質問4「この授業受けたら、何ができるようになるの?」

⇒授業に興味を持ってもらい、積極的に参加してもらう。

 

 元々勤勉な学生は説明しなくてもよいことなのですが、ジャケ買いならぬ、科目名買いで単位申請する学生は多い(たぶんほとんど)です。

必修科目を時間割のマスに埋めていき、空いているコマに“その他の科目”を入れていく。
“その他の科目”は、この空きコマに開講している「面白そうな科目名やそんな噂の授業」や「友達と楽しく協力して受講できそうな科目」を選ぶ。
これが、大体の学生の時間割作成の手順です。
授業担当者の専門や業績を調べ、その上で学びたいとの意思をもって受講する人もいないでもないですが、本当にヒトツマミのです。
(大学によってばらつきあり。東大とかだったらちがうのかな。)

私の担当科目は“その他の科目”が多いですから、学修して得られる知識、技術、考え方について最初に明示しておかないと、「こんなはずじゃなかった」とがっかりしてモチベーションが下がる(=そういう学生は授業の質を落とす)し、目的が明確にあると、(きちんと授業を受けている人は)学ぶ意欲も高まると思います。

 

このような目的で、初回にオリエンテーションの時間を取って、受講のルールを説明しています。

これをしたからと言って、思い描くように授業がうまくいくとは限らないのですが、少しでも学生たちが協力的になってくれるのではないかと願っています。

受講ルールの説明会:オリエンテーションでクレーム

さて、とは言っても、この初回授業にする授業内容の説明会、一部の大学では不評でした。
今では、大学の雰囲気、状況で、この説明会をしっかりやる大学と適当に済ませる大学に分けています。

クレーム1「シラバスに載っていることを持ち出して時間を使う、ダメな講師です。」

授業評価で書かれちゃいました。
そうですか。良かれと思ってしていたんですがね。
ちなみに、この大学は、偏差値が60以上の大学です。
授業をすると、特に講義でこちらの話に熱が入ってくると、シーンと静まり返っていく。
ノリが悪く、ちょっと話しづらいと感じる瞬間もあるけど、協力的で従順な学生が多く、授業はやりやすいです。

「授業いっぱい休んだけど単位欲しい、課題ください」と言って、丁寧に課題を出して、やり取りをたくさんしても提出しない学生が結構いたのもこの大学です。

クレーム2「授業の内容等、授業内できちんと説明してもらいたい」

クレーム1での反省を踏まえ、授業内容についての説明をあまりしなかった別の大学のアンケートに書かれていました。
偏差値は関係ないかもしれませんが、ここは50くらいの大学だと思います。
この大学は、文系の大学で言語表現への親和性が高いから?
一生懸命説明したら、講義の内容も、オリエンテーションも割と入っていく感じの大学です。

この大学では、以来、オリエンテーションをしっかりしています。

クレームはないが、しっかり説明させてもらいます!の大学

野生の楽園な大学です。一番エネルギーを使う。
おしゃべり、居眠り、内職ならまだしも、
授業中に記念撮影をする、電話でしゃべる、ラーメン食べる、ゲームをする、ゴミは床に捨てる…
本当に大きい声でしゃべる学生がいて、目の前で「ちょっと黙っといてな」「うん分かった」と何度もやり取りをするのに、すぐしゃべりだしてしまって、「さっき言ったやん」と言うと「先生、僕黙ってられへんねん。どうしよう。」と言われちゃいました。
どうにもならん。
「電話は外でしてね」
「ラーメンはにおうから、休み時間に食べてね」
「ゴミ箱に捨てや」
生活指導をしていたら、用意していた授業内容が終わらないこともあります。
しっかり、オリエンテーションもしていますが、…なかなか難しい。

 

春休みの間、資料作り&授業の見直しがんばろう~

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