大学の先生の講義ノート

臨床角帽学概論A

teaching is to learn.

 

105分授業と4学期制について考えてみた。

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前回からの続きです

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4学期制は一部の学生の利益のため?

そもそも、4学期制を使って海外へ行く学生ってそんなにたくさんいるのだろうか。

研究領域や内容によっては、日本の大学だけで学ぶには足りないものもあるでしょう。

私の専門も本場は欧米なので、本場で専門性を高めたい人は海外に行く人もいます。

でも、そうやって海外で学ぶ機会を求める学生って、ほんの一握りに違いない。

いや、世界に活躍の場を求めざるを得ない破格の能力を持った学生だけでなく、普通の学生も世界を見る機会があるというのは良いことだと思いますが、そういう普通の学生も含めて、この制度の恩恵にあずかる人ってそれほど多くないと思います。

結局、お茶濁しの制度と思いませんか。

子どもたちが世界に出て力をつけるには、素晴らしい授業と優秀な世界の学生と対等に学ぶ場、機会が必要です。それらが欧米である場合、日本式の春入学では、タイミング的になかなかその一歩が出ないことも多い。

では、大学を秋入学にしてはどうか、という議論はずっとありますよね。たぶん、いつか秋入学になるのでしょうが、秋入学にするには、大学だけでなく、保育園、幼稚園、小中高等学校や新卒採用のタイミング、それらすべてがごっそり変わるということ。日本人が長年愛用してきた年度感覚とおさらばする必要があります。莫大な予算がかかる、かなり大規模で大掛かりな改革になることは想像に難くありません。

それよか、とりあえず、学生が海外で学べる機会を今ある中でなんとか作る、そんな感じでしょうか。4学期制を活用して学生が海外で学び、年度感覚で動いている日本の社会に戻ってくるといういうイメージで、国は学生を海外に送り出そうとしているのでしょうか。

本場で学ぶということは、各個人にとって人生を豊かにする良い経験になるでしょうし、その経験が就職などを通して日本社会にいかされていくのでしょうが、何か釈然としない感覚があります。

105分授業にビビっちゃってるだけかなあ…。

そもそも、なぜ学生が海外で学ぶ機会を増やすことを国は考えているのか

とりあえず、これから日本社会を支える子どもたち(今のところ学生)の国際競争力を高めると言うやつが目的っぽいのでしょうね。

大学の国際化(特に東京大学?)が、国の課題なんでしょう。

これは、私が常々思っていることですが、もちろん優秀な人材を育てる仕組みも大切。でも、優秀な人材がいかされないのがこの国なんではないの?ということです。

テレビでも話題になっている、小林久隆先生率いる米国立がん研究所のがんの近赤外光線免疫治療法の開発には感動しました!

樫本 大進さんは、ベルリン・フィルの第1コンサートマスターでいらっしゃいます、素晴らしいです!

井村雅代コーチは、シンクロナイズドスイミングで中国チームをメダルチームへと成長させました!

他にも、優秀で素晴らしい研究者や技術者、芸術家、スポーツ選手の偉人たちは、ホームグラウンドとして海外を選んでいます。

学生を海外へ送り出す仕組みを作れば作るほど、優秀な人材は活躍の場を海外に移し、日本に見向きもしなくなるのとちゃうやろか。心配です。

アイビーリーグのほとんどの大学が、教員1に対して学生5。日本の大学は、教員1に対して学生20と言われています。私のような端くれの専門家が非常勤講師として、たくさんの授業を担当しています。もっと考えることがあるんとちゃうやろか。

もし、国が日本人の国際競争力を高め、日本が世界で勝ち残っていくために大学(教育)改革を考えているのだとしたら、105分4学期制でお茶を濁そうとするなんて正気の沙汰とは思えない。

日本には高度な研究ができる場、素晴らしい楽団や舞台がある。人生をかけて打ち込めばば、その技術や知識でもってずっと貢献していける活躍の場がある。日本にいれば活躍できる。

そんな夢のある国にならないと、せっかくの人を育てる仕組みは、お金を海外に落とし、頭脳や技術を海外に流出させるきっかけを作るだけになるのではないでしょうか。

モヤモヤするのは、105分授業にビビっちゃってるだけかなあ…。

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